積立投資の特徴3:「値上がり」効果

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積立投資の特徴3:「値上がり」効果

これまで、①「値下がり安心」効果②「リバウンド」効果と、積立投資の「下落局面」のメリットを中心に解説してきました。

逆に、積立投資で値上がりするとどうなるのでしょう?

今回は、「値上がり局面」の積立投資の特徴を解説します。

10年で2倍になるケース

毎月1万円ずつ積立投資すると、1年間で12万円、10年間の投資金額は合計120万円になります。

上図の様に10年間で2倍になる商品に毎月1万円ずつ10年間の積立投資をした場合、10年後、120万円はいくらになるでしょうか?

【選択肢】

①108万円 ②約167万円 ③約250万円

(正解はこの下に続きます)

 

 

 

 

 

 

正解:②約167万円

最初にまとめて120万円を投資する「一括投資」の場合、2倍の240万円になります。

それに比べると、利益は少なくなっています。なぜでしょうか?

値上がり効果を考える時も、積立投資の公式を使います。

積立投資の公式:「投資の成績=量×価格」

120万円を最初に一括投資する場合、最も安い10,000円の時点で投資をするので120万口買う事ができます。

(補足:基本的に投資信託の「価格」(基準価格と呼びます)は、1万口当たりの価格を示していることが多いので、当サイトでもは1万口当たりの「価格」として説明します。)

一方、積立投資の場合、「価格」が毎月上昇しているので、徐々に購入できる「量」が減少します。

値上がりすると買える「量」が減るのは、日常生活と同じです。

野菜の値段が上がれば、買える「量」は減ります。

積立投資でも、投資する商品が値上がりしたら、買える「量」は減っていきます。

結局、上記のケースでは、10年間で合計83.4万口しか買えませんでした。

一括投資も積立投資も、最後に評価する「価格」は2万円で同じです。

しかし、積立投資の方がトータルで買い込む「量」が少ないので、一括投資に比べて「投資の成績」は低くなったのです。

それでは、値上がり局面は積立投資家にとってデメリットになるのでしょうか?

そうではありません。

例えば、金利がほぼ0%の預金に積立する場合と比較してみましょう。

この場合、10年後も120万円のままですので、それより儲かります。

つまり、何も変化しないものに積み立てていくよりは、上昇する商品に積立ていった方が有利になります。

まとめると、積立投資は単純に右肩上がりで上昇する商品の場合、一括投資より儲かりませんが、何も変化しないタンス預金に積立てるよりは効率が良く資産を増やせます。

マーケットが短期的には上下しながらも、中長期的に右肩上がりに成長する場合、積立投資はゼロ金利の預金に寝かせておくより良いのです。

10年で10倍になるケース

次は10年間で10倍に値上がりするケースです。

先ほど同様、毎月1万円ずつ積立投資をした場合、投資した120万円はいくらになるでしょうか?

【選択肢】

①311.6万円 ②527.3万円 ③861.2万円

(正解はこの下に続きます)

 

 

 

 

 

正解は①311.6万円です。

いかがでしょうか?

金融商品は10年間で10倍になっても、その商品に毎月積立投資をしていった場合は3倍にもなりませんでした。

「そんなに値上がりしてるのに、あまり儲からないな・・・」と思われた方もいるでしょう。

積立投資の場合、一回で投資する「一括投資」と異なり、商品が上昇したからといって、儲かるという訳ではないのです。

理由は、商品の価格が上がると「量」が買えなくなるからです。

一括投資をする人にとって、値上がりは間違いなくメリットです。

一方、積立投資をする人にとっては、その時の状況によりメリットにもデメリットにもなります。

100倍になる商品に積立投資をすると

極端な例になりますが、頭の体操と思って考えてください。

10年間で100倍になる商品があったらどうでしょう?

仮にこの商品に120万円を一括投資すると、10年後は1.2億円になります!夢のような商品ですね。

それでは、毎月1万円ずつ積立投資をした場合はどうなるでしょう?

【選択肢】

①614.2万円 ②2091.4万円 ③5613.8万円

(正解はこの下に続きます)

 

 

 

 

 

 

正解は①614.2万円です。

いかがでしょう?

10年で直線的に100倍になる奇跡の様な商品があったとしても、積立投資の場合、5倍程度にしかならないのです。

こちらのページで積立投資の公式をリンゴを例にして解説しました。

リンゴが100倍に値上がりしたら、最後の方は薄くスライスした部分くらいしか買えないイメージです。

いくら「価格」が上昇しても、「量」が買えなければ、「投資の成績」はそこまで伸びないのです。

(もちろん、序盤に下落して「量」を大量に買い込み、終盤で相当な値上がりしたら、大きく儲ける事も可能です。)

積立投資では「上がったら儲かり、下がったら損をする」という古い考え方は一度捨てる必要があります。

上がっても損することもあれば、下がっても儲かることもあります。

従来の「価格」偏重思考から、「量」を溜め込む思考にシフトしましょう。

上がって少し下がるケース

次は「最後に少し下がるパターン」です。10,000円からスタートし、7年後に18,000円まで上昇、その後下落し終わり値は15,000円になっています。

この商品に「積立投資」をした場合の成果はいくらになるでしょうか。

【答え】 

①約106万円 ② 約126万円 ③ 約143万円

 

 

 

 

 

 

 

 

正解:②約126万円

このケースは一応、利益が出ます。

ただ、投資信託の値段は1.5倍になっても、利益はたったの5.6万円です。(投資金額120万円に対してリターンは約4%)

120万円を最初に「一括投資」していたら、「投資の成績」は180万円で60万円の利益が出ます。

積立投資の利益が抑えられた理由は、「価格」が上昇したため、購入した「量」が少なかったからです。

上がって元に戻る

それではもう一問考えてみましょう。

今度は上昇した後、元の値段まで戻るケースです。

5年後に18,000円まで上昇後、下落し10,000円に戻っています。

この様な値動きの商品に毎月1万円ずつ積立投資をすると120万円はいくらになるでしょうか?

【答え】

①135万円 ②約88万円 ③約57万円

(正解はこの下に続きます)

 

 

 

 

 

 

正解:②約88万円

今回は残念ながら、赤字になりました。

理由は上昇した所で口数をあまり買うことができなかったからです。

一括投資の場合、最初に120万口買えますが、積立投資の場合は88.2万口しか買えませんでした。

この様に、積立投資では値上がり後の「下落局面」に弱いのです。

しかし、赤字になるからと言って、悲観することはありません。

積立投資で「値下がり」は何を意味するのでしょう?

答えは「量を買い込む」です。

10年で2倍になったケース、10年で1.5倍になったケース(18,000円→15,000円)、10年で元に戻ったケース(18,000円→10,000円)の3問のケースを比較すると、赤字になった3問目が最も「量」を買い込んでいます。

10年目以降も継続すれば、この下落によって「量」を買い込んだパターンが、最も投資の成績を伸ばす可能性もあるのです。

積立投資は、単純に「値上がり=良、値下がり=悪」と決められるものではありません。

積立投資で大切なのは、下がった時に辞めずに続けて「量」を積み上げることです。

(ただし、「量」を買い込んだ積立投資の終盤での値下がりは要注意です。その点ついては出口戦略のパートで詳しく解説します。)

値上がり効果の実例

次の図は1979年末から1989年末までの日本株式(TOPIX)の推移です。

この間、日本株式は約6.2倍上昇しました。

この期間、積立投資をした場合、投資金額は何倍になったでしょうか?

【選択肢】

①約3.4倍  ②約4.4倍 ③約5.5倍

 

 

 

 

 

 

いかがでしょう?

正解は①約3.4倍です。

積立投資の場合、投資対象が約6.2倍に値上がりしても、「投資の成績」は約3.4倍にしかなってません。

私が過去に行った検証では、積立投資の中長期的な期待値は、一括投資の約半分程度でした。

積立投資の特徴④「値上がり効果」のまとめ

積立投資は値上がりしてもOK!

積立投資は順調に上昇しても、もちろん利益は出ます。

ただ、買える「量」が抑えられるため、単純に値上がりしても思ったほど「投資の成績」は伸びません。

また、順調に「値上がり」した後、大きな「下落」がくると赤字にもなりやすいのです。

しかし、積立投資の序盤・中盤の値下がりは悲観することはありません。

理由は「量」を買い込むチャンスだからです。

大切なのは、下がったところで辞めずに続けることです。

また、一つの資産だけでなく、投資対象(資産)を分散するのも大切です。

ただし、終盤での大幅な下落は要注意です。終盤に向けて保守的な運用に切り替えたり、一部現金化するなどして、リスクコントロールが重要になります。

これまで金融機関は「平均買付単価が下がる」と矛盾する説明ばかりしていた

こちらのページで解説した通り、これまで、金融機関・金融業界・有識者と呼ばれる人達は、積立投資を「平均買付単価が下がる」手法として解説してきました。

しかし、中長期的に成長する資産に積立投資をした場合、当然ですが「平均買付単価」は上昇します。

実際に、過去の世界の証券市場(株式、債券、リート、コモディティなど)は中長期的に成長してきました。

それゆえ、過去については様々な資産に分散して中長期の積立投資をした場合、「平均買付単価が上昇するケース」の方が圧倒的に多かったのです。

(この点について、詳しくは私の本「積立投資の全て」をご覧ください。)

いま、定着している「平均買付単価が下がる」という間違った説明では、積立投資の重要な特徴・リスクを何一つ説明できないだけでなく、真逆の印象を与えるのでいますぐ辞めるべきなのです。

多くの人は積立投資の「量」の視点を持っていないから教えてあげよう!

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